結婚したのに過干渉な親!子離れできない親の心理と対処法を解説

夫婦の暮らし

結婚とは、自分自身が心に決めたパートナーと二人で生活を始めるものですから、親からの自立を意味します。

もちろん親は大切ですし、結婚後も仲良くできるのに越したことはありません。

ただ、適切な距離感というのは必要です。

自分の親、もしくは結婚相手の親が過干渉だと感じると、自分たちの自立した生活がうまく回らなくなるかもしれませんし、親との関係そのものが鬱陶しくなってしまう可能性もあります。

今回は、子離れできず過干渉になってしまう親の心理について見ていきましょう。

過干渉の原因

親が子離れできず過干渉になってしまうケースの背後にある心理的な要因は多岐にわたります。

以下はいくつかの主要な側面です。

  1. 不安と恐怖: 親が子供に対して過度に保護的である場合、その根底には、子供が自分で生活する能力がないという不安や恐怖があることが多いです。子供が自立しても、その不安は消えず、親が過干渉する原因となります。
  2. コントロールの欲求: ある親は、自分の価値観や信念を子供に強く押し付け、子供の人生に対してコントロールを持ちたいと感じることがあります。子供の結婚はそのコントロールが揺らぐ瞬間であり、過干渉という形でコントロールを取り戻そうとすることがあるでしょう。
  3. 過去の未解決の問題: 親自身が自己の問題、たとえば自分の親との関係や過去の挫折に対処していない場合、子供への過干渉に現れることがあります。
  4. 愛情の表現: 一部の親にとって、過干渉は愛情の一つの形とされることがあります。子供への深い愛情から、その人生のあらゆる側面に関与しようとすることがあるのです。
  5. 自己同一性の問題: 親が自己のアイデンティティを子供と深く結びつけている場合、子供の自立は親自身のアイデンティティの喪失と感じられることがあります。結婚してもその繋がりを手放したくないという感情から過干渉することがあります。
  6. 空の巣症候群: 子供が家を出ることによる虚無感や孤独感からくる空の巣症候群も、子離れできない原因の一つです。子供の結婚を受け入れられず、過干渉する行動につながることがあります。

5番と6番については下記で詳しく解説します。

対策としては、親自身が自己認識を深め、過干渉の根底にある感情や信念に気づくことが重要です。

必要であれば、カウンセリングなどの専門的な支援を受けることも有効な手段となるでしょう。

最終的には、子供を尊重し信頼すること、そして自分自身の人生と感情に対処する能力を高めることが、健全な親子関係を築く鍵となります。

自己同一性とは?

自己同一性とは、自分が誰だと思うか、自分のことをどう思っているかという見解のことです。

それは自分の性格、好きなもの、自分自身についての考えなどを含み、それぞれの人が自己同一性を持つことで、自分たちが特別でユニークな存在であることを感じられます。

そして、それは私たちが他人や世界とどのように関わるかを決定します。

以下に、自己同一性に含まれるそれぞれの要素を具体的に説明してみます。

  1. 自己概念(Self-Concept): 自己概念とは、自分がどんな人間だと思うかということです。たとえば、自分は家族思いで、料理が得意で、人と関わるのが好きだと思うなら、それがあなたの自己概念の一部です。
  2. 自己意識(Self-Awareness): 自己意識とは、自分の感情や考え方を理解することです。たとえば、約束を破ったパートナーに対して自分が怒っていることに気づく、または、誰かが困っている時に助けたくなる自分は優しいと感じることなどがこれに当たります。
  3. 自尊心(Self-Esteem): 自尊心は、自分のことをどれだけ好きか、自分自身のことをどれだけ大切に思っているかの感じ方です。自分のことを価値があると思い、自分自身のことを好きだと感じると、自尊心が高いと言えます。
  4. 自己イメージ(Self-Image): 自己イメージとは、自分がどのように見えると思うか、または他人が自分をどう見ていると思うかのことです。たとえば、自分が職場の中で面白い人だと思うなら、それがあなたの自己イメージの一部です。

これら全ての要素が一緒になって、自己同一性、つまり自分が自分であると感じる感覚を作り出します。

これらは本来、時間とともに変わり、新しい経験を通じて成長します。

つまり、あなたの自分自身についての考え方は、時間が経つにつれて変わることがあるということです。

しかし、これらの要素が我が子と深く結びつきすぎていると過干渉に繋がるわけです。

例えば、「自分は子供のために全ての時間を使う良い親である」「自分は子供に対して誰よりも深い愛情を持っている」「自分は周囲からも素敵な親だと思われている」のように思っていると、子供が自立した途端に「親」という存在だった自分自身がなくなったように感じてしまいます。

そうなると、子供が結婚していようが自立したいと思っていようが、「親」という自分を取り戻すために過干渉になってしまうのです。

空の巣症候群とは?

空の巣症候群(Empty Nest Syndrome)は、子供たちが家を出て自立し始める時期に親が経験することがある心理的な現象です。

この症候群は診断可能な医学的疾患ではなく、一種の人生の遷移期に起こりうる感情的な反応として理解されています。

この状態は、特に母親に多いとされることがありますが、父親にも発生する可能性があります。

以下は、空の巣症候群の主な特徴と対処法についてです。

主な特徴

  1. 悲しみと孤独:
    子供たちが家を出ると、親はしばしば強い悲しみや孤独感を感じることがあります。特に子育てが生活の中心であった親ほど、その変化が大きく影響します。日常生活で子供たちと過ごす時間が多かった場合、その変化に対処するのは困難であることがよくあります。
  2. アイデンティティの危機:
    子供たちへの関与が親の自己同一性の一部であった場合、子供たちの自立は自己認識の混乱を引き起こすことがあります。自己同一性については上記で解説した通りです。
  3. 無目的感:
    親が子育てを通じて目的感を感じていた場合、子供が家を離れるとその目的感が失われ、何をすべきかわからなくなることがあります。
  4. 不安:
    子供が自分たちの保護から離れると、親は子供の安全や幸福について心配することがあります。
  5. 自己価値の低下:
    親が自己価値を子育てによって定義していた場合、子供が家を離れると自己価値が低下したと感じることがあります。

親自身がすべき対処法

  1. 自己探求:
    子供たちが家を出ることで空いた時間を使って、新しい趣味や活動に参加することが有効です。自分自身に再び焦点を当て、新しい興味や情熱を追求することで、成長と充実感を感じることができるでしょう。
  2. 配偶者とのコミュニケーション:
    配偶者との関係を深化させることも重要な側面です。子供が家を出た後のプランを共有し、一緒に過ごす時間を増やすことで、新しい段階の関係を築くことができます。
  3. 専門的なサポート:
    深刻な悲しみや抑うつが持続する場合、心理カウンセリングやセラピストとのセッションが有効であることがあります。専門家は個人的な感情や経験に対処するのを助けることができます。
  4. 子供との新しい関係の築き方:
    子供との新しい、大人としての関係を築く努力も重要です。彼らの自立を尊重しつつ、新しい関係のバランスを見つける努力が求められます。

空の巣症候群は個人的な経験に大きく左右されるため、個々の対処法は異なる場合があります。

自分自身の感情とニーズを理解し、必要に応じてサポートを受けることが重要です。

親の過干渉に対する対処法

学生時代ならいざ知らず、結婚してからも親の干渉が過ぎると感じたら、どうすれば良いでしょうか。

基本的には「話して分かってもらう」ということになりますが、具体的にどうするのが有効か考えてみましょう。

親が空の巣症候群かも?と感じたら

親が空の巣症候群に苦しんでいると感じたら、対処法は親の感情を理解し、支援することから始めます。

以下に、その具体的なステップをご紹介します。

  1. 感情の認識と承認
    まずは、親が空の巣症候群を経験しているという事実を認め、それが一時的なものであることを理解することが重要です。また、親が自分の感情を表現しやすい環境を作り、その感情を承認してあげることが大切です。
  2. コミュニケーションの確保
    定期的に連絡を取り、できるだけ親を訪問することで親との絆を保つことが重要です。また、親が新たな生活に順応していく手助けとなるよう、自分の新しい生活についても話すことが大切です。
  3. 新たな活動の奨励
    親に新たな趣味や活動、旅行などを始めることを勧めることで、新たな生活の喜びを見つける手助けとなります。新しい友人を作ったり、新しいスキルを習得したり、地域社会の活動に参加したりすることは、親に新たな目標や関心を提供します。
  4. サポートシステムの確立
    空の巣症候群を経験している他の人々とつながることで、親は自分だけでなく他の人々も同じ経験をしていることを理解するのに役立ちます。サポートグループやカウンセリングは、親が自分の感情を共有し、対処策を学ぶのに役立ちます。
  5. プロフェッショナルな助けの求め
    空の巣症候群が重度で、親が抑うつや不安などの深刻な症状を示す場合、専門家の助けを求めることが重要です。心理療法やカウンセリングは、このような状況を適切に管理するための有効な手段となります。

それぞれの親が異なる感情を経験し、異なる対処法が必要なため、一番重要なことは親の感情を理解し、適切な支援を提供することです。

とは言えこっちも辛い!正直鬱陶しい!という場合

過干渉な親に対して、上記のように常に親身になって対処するのは、確かに困難な場合もあるかもしれません。

自分の感じるストレスや鬱陶しさも大切に考慮する必要があります。

以下は、そのような場合に取るべき具体的な対処法です。

  1. 自分の感情を明確に伝える
    あなたの気持ちは重要です。親に、過干渉がどのようにあなたに影響しているか、具体的かつ冷静に説明します。無責任に感情を爆発させるのではなく、具体的な事例を用いて理解を求めるとよいでしょう。「あのときこうされたのが、自分はこう感じて嫌だった」と親にも分かるように説明しましょう。
  2. 境界線を設定する
    あなた自身と親との間に健康的な境界線を設定することも重要です。これは、親がどの程度介入するか、何に対して介入するかを明確にし、あなたのプライバシーと独立を保護するために役立ちます。「子育てについては夫婦で決めるから口を出さずに見守って」のように、何については介入しないで欲しいのかを伝えるのも大事なことです。
  3. 助けを提供する
    親が過干渉する理由は、時に不安や寂しさから来ることがあります。親が自分の趣味や友人との交流など、自分自身の生活に集中する助けとなるよう奨励することが役立つ場合があります。例えば、ときには車を出して駅までの送迎だけはしてあげるとか、できる範囲で助けてあげましょう。
  4. カウンセリングの提案
    過干渉が解決できない問題に発展する場合、家族カウンセリングを検討することも選択肢の一つです。プロのカウンセラーが、家族間のコミュニケーションの改善や問題の解決を支援してくれます。話もしたし自分の気持ちも伝えたけれど状況が改善されないという場合はプロに頼ってしまいましょう。
  5. 自分自身を守る
    最終的には、自分自身の精神的健康を最優先にすることが重要です。親との関係が毒になりつつある場合、プロの助けを求めたり、必要に応じて距離を置くことも考慮するべきかもしれません。

このような状況では、親身になることも重要ですが、自分の感情とニーズもしっかりと考慮し、適切に対応する必要があります。

適切なコミュニケーションと境界の設定は、互いの関係を健康的で平穏なものに保つ鍵です。


いかがでしょうか。

結婚してからの、双方の親との関係というのはなかなかに難しいものであることも多いですが、それぞれの親と健康的な関係を保ちつつ、必要なときは助けたり、助けを求めたりできる環境にしておけると良いですね。

タイトルとURLをコピーしました