小学校の英語教育【前編】子供たちは何を習う?学年ごとの目標と授業内容

子育て

2020年度から、小学校での英語が必修科目となりました。

グローバル化が進む現代社会では英語のスキルはより重要なものとなってきているということです。

また、様々な企業がグローバル化していることからも、英語ができる人とできない人では生涯年収が2億円近く変わるというデータも出ています。

これは2023年現在の話ですから、今後ますますその差が広がっていく可能性が高いでしょう。

そんな時代の小学校英語。

子供たちはどんなことを学び、何を身につけようとしているのでしょうか?

今回は、気になっている親御さんも多いであろう小学校の英語教育について、学年ごとの目標や内容をまとめました。

まずは知っておこう 小学校の英語教育に関する政府の指針

小学校での英語教育は、子供たちが自然に英語に触れることで、新しい言語に対する興味や好奇心を育て、基礎的な言語能力を身につけることを目指しています。

以下、基礎的な情報を確認していきましょう。

小学校教育に「英語」が導入されるまでの流れ

  1. 外国語としての英語活動(5,6年生):
    2011年度から5年生と6年生での「外国語としての英語活動」が始まりました。ここでは、英語を使ったコミュニケーション能力の育成を目指していました。
  2. 外国語活動(3,4年生):
    2020年度から、3年生と4年生でも「外国語活動」が行われるようになりました。これは、英語に親しむための活動で、具体的には歌やゲームを通じて英語に触れることが推奨されています。
  3. 英語の「教科」化:
    同じく2020年度から、5,6年生での英語活動は「英語」という「教科」として位置付けられ、より体系的な学習が求められるようになりました。それまでは評価等をさほど気にしなくていい「活動」という名称だったのが、これ以降は「算数」「理科」等と同等の「教科」になったということです。

小学校の英語教育全体を通した目標

日本政府が小学校の英語教育について定めている目標は、「言語活動を通じて国際理解の基礎を形成する」というものです。

これをより詳しく言うと以下のような目標です。

1. 他の文化への理解と尊重の育成:
子どもたちは、英語を通して世界が多様であることを理解し、自身の文化と他の文化を尊重することを学びます。これは、国際社会で活躍するための重要な基盤を形成します。

2. コミュニケーション能力の養成:
子どもたちは、基本的な英語の語彙とフレーズを用いて、簡単なコミュニケーションを取ることを学びます。言葉だけでなく、身振りや表情など非言語的な手段を使って意思疎通を図る力も身につけます。

3. 英語に対する楽しさと興味の発達:
学びの初期段階で、子どもたちは英語に対して楽しい経験を積み重ね、それにより自信と興味を育むことが期待されています。これが後の英語学習へのモチベーションを維持するための基盤となります。

これらの目標は、子どもたちが自信を持って英語を使うだけでなく、自分自身と他人、そして広い世界とのつながりを理解し、価値を尊重するためのものとされています。

教室では何を習うの?学年ごとの授業内容

次は、実際に小学校の教室でどんな内容を習うことになっているのか、3,4年生の「外国語活動」、5,6年生の「英語」で分けて見ていきましょう。

3,4年生「外国語活動」

目標

3、4年生の「外国語活動」の主な目標は、英語に自然に親しみ、新しい言語への興味や好奇心を育てることです。

これには以下のような具体的な目標が含まれます。

  1. 基本的な英語の音や単語に親しみ、それらを認識できるようになる。
  2. 英語を使った簡単なコミュニケーションの楽しさを体験する。
  3. 英語を話す国や文化についての理解を深める。

内容

上記の目標を達成するために、以下のような内容が一般的に取り扱われます。

  1. 語彙と表現: 簡単で日常的な語彙や表現を学びます。これには、色、数字、動物、果物などの基本的な単語や、挨拶や自己紹介などの基本的なフレーズが含まれます。
  2. 「聞く」と「話す」のスキル: 簡単な英語の言葉やフレーズを聞いて理解し、自分で発音することを学びます。歌を歌ったり、ゲームをしたりすることを通じて、英語の音に耳を慣らし、簡単なフレーズを使ったコミュニケーションを体験します。
  3. 文化理解: 英語を話す国々の文化や習慣について学びます。これは、異文化理解を深め、自分自身の言語と文化とを比較する機会を提供します。

この段階でのポイントと実例

これらの教育目標と内容は、子どもたちが楽しみながら英語に触れ、新しい言語に対する好奇心と興味を育てることを目指しています。

この段階では文法よりも、英語を使ってコミュニケーションを持つ楽しさや自信を養うことに重きが置かれます。

そのため、一般的には簡単な単語やフレーズ、日常的な表現が中心となります。

以下にいくつか例を挙げます:

単語:
colors (色) – red, blue, yellow etc.
numbers (数) – one, two, three etc.
animals (動物) – dog, cat, bird etc.
fruits (果物) – apple, banana, orange etc.

フレーズ:
“Good morning/afternoon/evening.”
“How are you? I’m fine, thank you.”
“What’s your name? My name is …”
“How old are you? I’m … years old.”

英語の文法を厳密に教えるよりも、より自然な形で言語を学ぶことが重視されます。

歌を歌ったり、ゲームをしたり、話をしたりする中で、自然に英語のフレーズや表現を学びます。

それでも、基本的な文法の理解は徐々に形成されると言われています。

例えば、”I am …”, “This is a …”, “Do you like …?” などの簡単な文構造を通じて、主語-動詞-目的語の基本的な英文の構造を理解します。

5,6年生「英語」

目標

5、6年生の英語教育の主な目標は、英語を用いた基本的なコミュニケーション能力の養成と、異文化理解の促進です。これには以下のような具体的な目標が含まれます。

  1. 基本的な語彙と表現を使って、自分の思いや感じたことを表現できる。
  2. 英語の音に耳を慣らし、基本的な英語表現を理解できる。
  3. 簡単な英語で日常的なコミュニケーションをとれるようになる。
  4. 英語を使った国際的なコミュニケーションの楽しさや必要性を理解する。

内容

5、6年生の「英語」の授業では、以下のような内容が一般的に取り扱われます。

  1. 語彙と表現: 子どもたちは、日常生活で役立つ基本的な語彙と表現を学びます。例えば、家族、学校の科目、趣味、天気、時間などに関する単語やフレーズを学びます。
  2. 聞くと話すのスキル: 子どもたちは、簡単な英語表現を聞いて理解したり、自分で英語で話したりするためのスキルを磨きます。これは、聞いて理解する「リスニング」スキルと、自己表現のための「スピーキング」スキルを発展させることを意味します。
  3. 読み書きの基礎: 子どもたちは、基本的な英単語の読み書きを学びます。アルファベットの認識や発音、簡単な文の読み書きが含まれます。
  4. 文化理解: 子どもたちは、英語を話す国々の文化や習慣について学びます。これは、異文化理解を深め、より効果的な国際コミュニケーションを可能にします。

この段階でのポイントと実例

これらの教育目標と内容は、子どもたちが楽しみながら英語を学び、異文化理解を深め、基本的なコミュニケーション能力を身につけることを目指しています。

その中で、5年生と6年生の英語教育では、より広範な語彙と基本的な文法構造を学び、理解を深めることが期待されます。

具体的な内容は使用する教科書や教員、学校によりますが、以下に一般的な例を挙げてみます:

単語:
様々な食べ物(apple, bread, chickenなど)
家族関係(mother, father, sister, brotherなど)
学校の科目(math, science, artなど)
趣味やアクティビティ(soccer, reading, paintingなど)
感情や状態(happy, sad, tiredなど)

基本的な文法構造:

  • 現在形(Present Simple): “I play soccer.”(私はサッカーをします)
  • 現在進行形(Present Continuous): “I am reading a book.”(私は本を読んでいます)
  • 過去形(Past Simple): “I visited my grandmother.”(私は祖母を訪れました)
  • 未来形(Will Future): “I will go to school tomorrow.”(私は明日学校に行きます)
  • 能力を表す「can」: “I can swim.”(私は泳げます)
  • 一般疑問文: “Do you like apples?”(あなたはリンゴが好きですか?)
  • Yes/No疑問文と回答: “Are you tired?” “Yes, I am.” / “No, I am not.”(あなたは疲れていますか? はい、そうです。/ いいえ、そうではありません。)

5,6年生では過去形まで出てくるので、3,4年生のときと比べると文の構造や意味を理解することが必要になるのが分かりますね。

とは言え、中学校以降のように文法をきっちり学ぶということではありません。

小学校の英語はあくまでも英語に対する興味と関心、そして英語によるコミュニケーション力を育むことが目標だからです。


 今回は【前編】として小学校の英語教育について概要をまとめました。

次回、これを踏まえて小学校の英語教育で現時点で指摘されている問題点や課題、さらに親が英語を話せない場合に望ましい家庭での対応をご紹介します。

ぜひ合わせてお読みいただければと思います!

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