その子育て、本当に大丈夫?親が学ぶべき「教育」の仕方

子育て

子育ての方針を考える上で、「自分が良いと思うからこうする!」というだけではなく、様々な教育理論を知っておくことは大切なことです。

近年では多くの育児施設や教育施設で、様々な教育理論が取り入れられています。

もちろん一つの理論にこだわり過ぎたり、それを実践しようとするあまり神経質になってしまうのは子供のためにも良くありません。

しかし、子供にとってより良い環境、より成長しやすく、能力を伸ばしやすい環境を用意してあげられるなら、それに越したことはありませんね。

そのためにまずは親が学ぶことで、できることはたくさんあります。

いくつ知ってる?教育理論

ここでは、有名な理論であるモンテッソーリ教育、シュタイナー教育、レッジョ・エミリア教育、STEAM教育、そして子育てに関しても理論を展開しているアドラー心理学のそれぞれの特徴と、この5つの理論にに共通する点について解説します。

モンテッソーリ教育

モンテッソーリ教育は、イタリアのマリア・モンテッソーリ医師が考案した教育理論で、「自ら学び、自ら育つ」というコンセプトが基本です。

子供たちには自分で物事を学び、考え、成長する力を与えることが大切であり、そのための環境を整えることが重要だと主張しています。

家庭でも、子供が自主的に学びやすい環境をつくり、失敗を恐れずにチャレンジできるようサポートすることが求められます。

★ モンテッソーリ教育のポイント:
 1.自己学習や自己発見を重視し、子供たちの個々の能力と興味を尊重する
 2.環境への敏感さや集中力の育成を重視する
 3.教師はガイド役であり、子供たちの自主性を尊重する

シュタイナー教育

シュタイナー教育は、オーストリアのルドルフ・シュタイナーが創設した教育哲学で、心・技・知の調和を重視しています。

子供の成長に応じた教育を行い、感性や創造力を大切にすることが特徴です。

家庭での子育てにも、子供の年齢や発達に合わせて、適切な知識やスキルを教えることが大切だとしています。

★シュタイナー教育のポイント:
 1.教育は学年ごとの発達段階に合わせて総合的に行われる
 2.自然と芸術に重点を置き、感性や創造性の発展を促す
 3.定型的なテストや競争を避け、個別の進捗を重視する

レッジョ・エミリア教育

レッジョ・エミリア教育は、イタリアのレッジョ・エミリア地域で発展した教育理論で、子供たちの創造力や共感力を育むことに焦点を当てています。

子供たちと共に学び、子供が主体となって問題解決を行うことを重視しています。

家庭での子育てでも、子供の意見や考えを尊重し、共に考えることが大切としています。

★レッジョ・エミリア教育のポイント:
 1.子供の興味や好奇心を尊重し、子供自身のアイデアや意見を重視する
 2.視覚的な表現や芸術的な方法を通じて学習を促進する
 3.子供たちの学びをコミュニティ全体で共有し、協力的な学習環境を作る

STEAM教育

STEAM教育は、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術)、Mathematics(数学)の5つの分野を組み合わせた教育で、これらの分野を総合的に学ぶことで、創造力や問題解決能力を育成することを目指します。

最近の保育施設でも導入されることが増えてきました。

家庭での子育てでも、様々な分野に触れさせ、幅広い知識と興味を持たせることが重要とされます。

★STEAM教育のポイント:
 1.科学、技術、工学、芸術、数学の領域を統合的に学ぶ
 2.問題解決、クリティカル思考、創造性の育成を重視する
 3.実践的なプロジェクトやチームワークを通じて学ぶ

アドラー心理学

アドラー心理学は、オーストリアのアルフレッド・アドラーが提唱した心理学で、子育てにおいては「共同体感覚」の育成が重要視されます。

「共同体感覚」とは、他者と協力し、社会の一員として共に生きる感覚のことです。

家庭での子育てでは、子供が他者と協力し、コミュニケーションを大切にするようにサポートすることが求められます。

★アドラー心理学のポイント:
 1.個人の目標達成や社会的な関係性のバランスを重視する
 2.自己啓発と責任感の育成を促す
 3.目標志向的なアプローチで、人間関係や問題解決に取り組む

以上ご紹介した5つの教育理論や心理学は、実際の教育や育児の現場でも取り入れられています。

さて、それぞれは異なる理論ですが、逆に、これらの教育や心理学のアプローチには、共通点はないのでしょうか。

もしあれば、理論や説によらず、普遍的に大事なことと言えるのではないでしょうか。

異なる教育理論に共通する点

まとめてみると、上記5つの教育理論と心理学には以下のような共通点があります。

 1.子供の個別の発達や能力を重視する
 2.創造性や自己表現の重要性を認識する
 3.子供の興味や好奇心を尊重し、その関心に基づいて学びを促す
 4.社会的な関係性や協力的な学習環境の重要性を強調する
 5.子供の自主性や自己責任の発展を支援する

ただし、これらの教育や心理学のアプローチは異なる起源や理論的な背景を持っていますので、完全に同じではありません。

各アプローチは独自の特徴や方法を持ち、教育の目標や重点も異なる場合があります。

その上でもっと簡単に言えば、「子供を一人の人間として尊重すること」「子供が持つ個性や興味を大事にすること」「子供が自立して周りと関わっていけるようにすること」が根本的に重要だと言えそうです。

教育について学ぶのは大変だという人も、この3つだけはとりあえず意識して、日頃の子供とのコミュニケーションを大事にすると良いのではないでしょうか。

いかがでしょうか。

教育理論や心理学を参考にしながら、ご自身の子育てにおいて大切なことを見つけ、子供たちの健やかな成長を促していきましょう。

どうやったら子供に分かってもらえる?効果のある叱り方

子育ては試行錯誤の連続ですが、ときには我が子を叱らなければならない場面もあります。

ただ、感情的に怒鳴り散らすのは、教育的に良い行いとは言えません。

子どもに対する叱り方が適切でないと、大人が思う以上に子どもの心を傷つけてしまうこともあります。

大声で怒鳴るのではなく、落ち着いて話し合うことが大切です。

また、叱るタイミングも重要で、子どもが反省できるタイミングを見極めることが必要です。

特に幼児に対する叱り方は、建設的なコミュニケーションと子供の発達段階を考慮することが重要です。

以下に、幼児に対する叱り方で大事なことをいくつかご紹介します。

ただし、先に述べておきますがもちろん、危険な場面ではこの限りではありません。

道に飛び出そうとした子供を呼び止めるような場合や、「危ない!」と危険を子供に知らせる状況では当然、大声も必要です。

以下はあくまでも子供が何か良くない行動をしてしまったときの対応とお考えください。

冷静な対応

叱る場面で感情的にならず、冷静に対応することが重要です。

怒りやイライラを抑え、冷静な声や表情で話すことが大切です。

幼児は大人の態度や感情を受け取りますので、理想的には常に穏やかな態度で接することが重要です。

とは言え親も人間ですから、ときには大きな声を出してしまうこともあるでしょう。

実際、穏やかに話していても子供が話を聞かないということもあります。

うちでもあります。

ただ、多少大きな声を出したとしても、言葉は選ぶべきです。

子供のやったことや子供自身を頭から否定するような物言いはやめましょう。

それでは叱ることの主旨(反省を促すこと)から外れてしまいますから、子供は何を叱られたのか理解できない可能性がありますし、単に「親が怖い」という印象だけが残るかもしれません。

叱るのは、良くないことをしてしまったと理解させることだと意識しましょう。

まずは大人が落ち着くことです。冷静に冷静に。

理解と共感

幼児の行動の背後にある理由や感情を理解しようとすることが大切です。

幼児の発達段階や認知能力を考慮し、彼らの視点から物事を捉えるように心がけましょう。

また、子供の感情や困難に対して共感し、理解を示すことも重要です。

例えば物を壊してしまったとき。

「なにやってんの!」といきなり怒るのではなく、「何をやってみたかったの?」「どうしたかったの?」と訊いてみると、意外な答えが返ってくることもあります。

その上で、「そうだったんだ、でも危ないからこうやるのはやめようね」と諭すと、子供も分かってくれるはずです。

逆に、特に理由はないけどなんとなくやってみた、ということもあります。

何しろ幼児ですから。

自分にも覚えがありませんか?なんとなく引っ張ってみたとか、なんとなくひっくり返してみた、という行動です。

その場合は「なんで」と訊かれても子供は答えられませんから、しつこく理由を聞き出そうとするのはやめましょう。

子供の反応を見て、特に理由はないのかなと思ったら「やってみたかったのか~、でもこうなっちゃうからもうやめようね」と言えば良いのです。

簡潔な説明と具体的な指示

叱る際には、明確かつ具体的な言葉で問題の原因や望ましい行動を説明しましょう。

幼児は単純で具体的な指示を理解しやすいですので、状況や行動に焦点を当てて伝えることが重要です。

例えば硬いおもちゃを投げて遊んでいたとします。

「当たったら痛いよ、そんなことしたらだめでしょ」よりも、「ブロックを投げるのはダメだよ」の方がいいということです。

「当たったら」とは何のことか、「そんなこと」とはどの行動のことか、幼児には分かりにくいこともあります。

特に問題行動から少し時間が空いてしまったりするともう分かりません。

確実に伝わるように、具体的な言葉遣いを心がけましょう。

常に肯定的なアプローチ

叱る場面でも、幼児のポジティブな面や努力を認めることを忘れずに行いましょう。

毎回ではないでしょうが、場合によっては問題行動の前にポジティブな要素が含まれることもあります。

その場合は否定的な言葉や批判に頼らず、代わりに望ましい行動や解決策について話し合い、肯定的な方向性を示すことが重要です。

例えば、お皿を洗おうとしたけれど上手くいかなくて割ってしまった、という場面なら、「皿洗いをしようとした」という部分は誉めてあげたいですよね。

「お手伝いしようとしてくれてありがとう、けがしてない?」とまずは認めてあげましょう。

それから具体的に、「このお皿は大きくて重いから、置いたままで洗ったらいいね、それからゆすぎは滑っちゃうから、ママかパパがやろうか」と解決策を話すと良いと思います。

このような場合にただ怒られてしまうと、せっかくの子供のやる気を削ぐことになりますから注意が必要です。

一貫性とルールの明確化

幼児は一貫性と予測可能性を求める傾向がありますので、叱る場面でも一貫したルールや期待を持つことが重要です。

明確なルールを設定し、それに基づいて行動に対する結果や制約を説明しましょう。

この間は「いい」って言ったのに今日は「だめ」って言われた、と子供が思う状況は良くないということです。

これをやられると大人でも嫌ですよね。

例えばお風呂に入らないでいつまでも遊んでいる、という状況を回避するなら、「8時になったらお風呂に入る」というルールを設けます。

「8時になったよ、もうお風呂でしょ」と時計を指しながら伝えるようにすると、「8時はお風呂の時間」と子供も理解するようになります。

ただしこれは「ルール」ですから、大人も守らなければいけません。

今日はちょっと疲れている…とか見たいテレビ番組が…という理由でだらだらお風呂に入らないのはダメです。

家族のルールを一緒に守るという姿勢を、親が率先して見せてください。

学びの機会の提供

幼児にとって叱られることは、その行動や選択に対する反省と学びの機会となります。

叱るだけでなく、問題解決や適切な行動に向けた支援や指導を行いましょう。

幼児に対して具体的な改善策や代替の行動を示すことで、成長と学習の機会を提供します。

これは具体的な指示や解決策の提示の例と同じですが、「次はどうすればいいか」を一緒に考えることで行動の改善を促すということです。

年齢にもよりますが、話し合える歳であれば、「次はどうしたらいいと思う?」と本人に考えさせるのも効果的です。

これらのポイントは、幼児の個別の性格や発達段階に合わせて適用する必要があります。

幼児に対する叱り方は、愛情と理解に基づいたアプローチを取ることで、子供の自己肯定感やポジティブな行動の発展を促すことが大切です。

以上、教育理論の考え方と、子供を叱るときに心がけたいことをまとめました。

子育ては難しいですが、やはり何よりも大事なのは愛情です。

愛情だけでは子供は育たないなどとも言いますが、愛情がなければ育たない部分が計り知れないほど大きいのも事実です。

常に愛情を持って接することを忘れずに、ご紹介したポイントを少し意識しながら、子どもの成長を見守っていきましょう。

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