結婚生活は、ふたりが共に歩んでいく大切な時間です。
その中で、相手の気持ちを理解し、互いを支え合える関係を築くことが大切です。
そのためにはコミュニケーションが最も重要なポイントになりますが、具体的にどのような態度で話をすれば良いのでしょうか。
今回はアクティブリスニングと呼ばれるスキルをご紹介します。
なぜか会話が続かないとか、会話はあるけど相手の気持ちがよく分からないという人は特に、ぜひ参考にしてみてください。
アクティブリスニングの基礎知識
まずはアクティブリスニングとは何かを知りましょう。
一言で言うと「話の聞き方」のことですが、もう少し詳しく言うと、相手の話を聞くだけでなく、共感や理解を示すことで、問題を解決するための技術のことを言います。
ここではアクティブリスニングの定義と起源を解説します。
アクティブリスニングとは
アクティブリスニング(Active Listening)は主に心理学とコミュニケーション学の中で開発され、特にカウンセリングや心理療法の分野で重要視されてきました。
この概念の起源は、カール・ロジャーズという心理療法者によるクライアント中心療法に遡ります。
カール・ロジャーズは20世紀中頃にアクティブリスニングの概念を導入しました。
ロジャーズは、心理療法のプロセスにおいて、クライアントが自己を理解し、自己成長と自己改善を促進するためには、療法者がクライアントの経験や感情を深く理解し、それを反映することが重要であると考えました。
これを実現するための一つの手段がアクティブリスニングであり、療法者はクライアントの話を聞き取り、理解し、フィードバックを提供することでクライアントの自己理解を助けます。
それ以来、アクティブリスニングは、コミュニケーションスキルを向上させるための重要な方法として、ビジネス、教育、リーダーシップ、対人関係など、さまざまな分野で採用されてきました。
それぞれのコンテキストでの効果的なアクティブリスニングの方法や重視される側面は異なるかもしれませんが、共通するのは、相手のメッセージを完全に理解し、適切に反応するという基本的な目標です。
アクティブリスニングの内容
一般的に言うアクティブリスニングは、コミュニケーションスキルの一つで、話し手のメッセージを受け取り、理解し、反応するプロセスのことを指します。
これは、単に話を聞くだけではなく、それを理解し、適切に反応するための能力で、より効果的なコミュニケーションと良好な人間関係の構築に役立つとされます。
アクティブリスニングを実践する方法は以下の通りです:
- 集中して聞く:
これは基本ですが、他のことを行なったり、心が他方向に向いていたりすると、完全に理解するのは難しいです。
相手が話しているときは、100%の注意を払いましょう。 - 非言語的な反応をする:
頷く、目を見る、表情を使うなど、言葉を使わない反応も重要です。
これにより、あなたが関心を持って話を聞いていることを示すことができます。 - フィードバックを与える:
話が終わったら、相手が伝えようとしていた内容を自分の言葉で繰り返しましょう。
これにより、あなたが相手の言葉を正確に理解したかどうかを確認することができますし、誤解を避けることもできます。 - 質問をする:
何かわからないことがあったら、適時に質問をしましょう。
これはあなたが積極的に理解しようとしていることを示すだけでなく、話し手にもより深く話題について考える機会を提供します。 - 共感を示す:
話し手の感情を認識し、それに共感することも重要です。これにより、話し手は自分が理解されていると感じ、あなたとのコミュニケーションがよりスムーズになります。
これらの方法を実践することで、あなたは効果的なアクティブリスナーになることができます。
アクティブリスニングは練習を必要としますが、コミュニケーションスキルを向上させるための重要なツールです。
すぐに全部をやろうとする必要はありません。
日頃の会話の中で上記の点を意識して、少しずつ実践すると、徐々にスキルが身についていくでしょう。
夫婦間でアクティブリスニングを実践するとどうなる?
アクティブリスニングが良好な対人関係を築くために有効だということは分かりました。
それでは、アクティブリスニングを夫婦間で実践すると、どんな効果があるでしょうか。
夫婦間におけるアクティブリスニングの効果
考えられる効果を挙げてみます。
- 理解が深まる:
アクティブリスニングを通じて、お互いの考えや感情、経験について深く理解することができます。
これは、誤解を避け、お互いに対する理解と尊重を深めるために重要です。 - 信頼関係が築かれる:
アクティブリスニングは、あなたがパートナーの意見を真剣に受け止めていることを示す重要な方法です。
これにより、お互いに対する信頼感が強まります。 - コミュニケーションが改善される:
アクティブリスニングは、効果的なコミュニケーションスキルを向上させる一方、非効果的なコミュニケーションパターンを排除するのにも役立ちます。 - 感情の調和が増す:
アクティブリスニングにより、相手が自分の感情や経験を共有しやすくなり、それによって感情の調和が増すことがあります。 - 問題解決能力が高まる:
互いに意見を尊重し、全ての観点を理解することで、夫婦間の問題解決能力が高まります。
それぞれの視点が考慮され、両者が納得のいく解決策が見つけられる可能性が高まります。 - 関係の満足度が向上する:
良好なコミュニケーションは関係の満足度と直接関連しています。
アクティブリスニングは、夫婦間でのコミュニケーションを向上させ、結果として関係の満足度を高めることができます。
これらの効果は、アクティブリスニングが夫婦関係に及ぼす一部の可能性を示したもので、実際の結果は、具体的な状況や個々の対話スタイルによるところが大きいです。
しかし、いずれにせよ夫婦関係がより良くなる可能性は高まります。
では、これを実践していく上で重要なポイントを知っておきましょう。
夫婦でアクティブリスニングを実践するときの注意点
夫婦間でアクティブリスニングを実践する際に理解すべき前提がいくつかあります。
これを分かっていないと、効果が半減してしまったり、場合によっては逆効果になってしまうかもしれません。
以下のポイントを押さえて、夫婦で共通の理解とした上でアクティブリスニングの技術を実践していきましょう。
- 全ての感情を尊重する:
相手の感情を全て有効かつ重要として受け入れることが大切です。
感情は正しくも間違ってもいません。
それぞれの感情が個々の経験や視点から来ていることを理解しましょう。
完全に共感はできなくても、相手はそう思ったんだ、そう感じたんだと受け入れることが重要です。 - 相手の視点を理解する:
アクティブリスニングは、相手の視点を完全に理解しようとする試みです。
自分の視点を押し付けるのではなく、相手が何を感じているのかを理解しようと努力します。 - 直接的な解決策を急がない:
話を聞く際、すぐに問題を解決しようとするのはやめましょう。
時には、相手が求めているのは具体的な解決策よりも、ただ自分の感情や考えを理解してもらうことだけということもあります。 - 耐性と忍耐力が必要:
相手が自分の感情や考えを完全に表現するまで待つことが必要です。
アクティブリスニングは時間とエネルギーを必要とするスキルであり、それには耐性と忍耐力が求められます。 - 双方向のプロセス:
アクティブリスニングは双方向のプロセスです。
お互いに同じレベルでコミュニケーションをとることが重要です。
一方がもう一方を上から見下すことなく、対等な関係でコミュニケーションを取ります。 - 非難やジャッジを避ける:
アクティブリスニング中には、相手を非難したり、判断したり、批評したりすることを避けましょう。
これらの行為はコミュニケーションを阻害し、理解を妨げます。
これらの前提と注意点を理解し、尊重することで、夫婦間のアクティブリスニングはより効果的なものになります。
いかがでしょうか。
いつもいつも「アクティブリスニングをしなきゃ!」と構える必要はありませんし、それではかえってストレスになるでしょうから、夫婦の関係にも良くないです。
ただ、相手に対する愛情や感謝を忘れずに過ごしていれば、相手の目を見て話すとか、相手の気持ちを尊重するとか、そういうことは自然とできるのではないでしょうか。
夫婦間で実践する場合、アクティブリスニングは関係維持のためにあくまで補助的な働きをするものです。
大事なのはやはり、お互いを愛し、その存在に感謝し、大事に思う気持ちを忘れないことです。
それを再確認した上で、コミュニケーションスキルも身につけていくことが重要だと思います。