子育ては、子供が生まれた瞬間から始まり、成人するまでと考えても二十年続く一大事業です。
子供が複数居ればもちろん何十年と続くことになります。
そんな人生の大部分を費やすことになる「子育て」で、夫婦が常に協力するかしないかは、大きな差を生みます。
今回は、夫婦が二人の子を育てる大事な時間の中で大事なことと、それによってどんな影響が生まれるのかを見ていきましょう。
子育てストレスから夫婦関係を守る
子育てには思っている以上に時間とエネルギーが必要で、当然ストレスが溜まることもあります。
また、子供のことに一生懸命になるあまり夫婦関係が疎遠になってしまうこともあります。
しかし大変だからこそ、お互いにしっかり話し合い、チームとして協力して育児に臨むことで、夫婦関係を強化することもできます。
ここでは、子育てのストレスに負けない夫婦関係を築いていくために、大事にしたいポイントを見ていきましょう。
相手任せにしない
基本的に、子供のことは夫婦二人が均等に責任を負うべきです。
今の日本では夫がより長く会社で働き、妻がより多く子供の世話をするというパターンが多いと思います。
特に赤ちゃんのうちは授乳等の理由もあり、この傾向が顕著になります。
この状況だとどうしても、子供のことは妻の責任であるように感じてしまいがち。
もちろん逆もあるでしょう。
夫の方が家に居る時間が長い家庭では、子供の世話は夫の担当になっているはずです。
しかしどちらの場合でも、子育ては本来二人で取り組むものです。
実際に子供と関わる時間に差ができてしまうのは仕方のないことですが、問題は夫婦の気持ちの持ちようです。
「子供の世話」というのは非常に大きな責任を伴うことです。
それを、どちらかが「あなたがやるんだよね」と思っていると、そう思われている方には確実にストレスが溜まります。
実際にあった話として、夜に子供(赤ちゃん)が泣き止まないことにイライラした夫が妻に対して「お前の育て方が悪いんじゃないのか」と言ったというエピソードを目にしたことがありますが、これは明らかに子育ての全てを妻に丸投げしているから出る言葉ですね。
こんな頭の悪い暴言を吐く人はこのブログに辿り着かないと思うので言いますが、ダメ夫の典型ですよね。
子供のことで困ったり悩んだりしたときは夫婦でそれを共有し、一緒に悩み、一緒に考えて、一緒に解決しようと努力することが大切です。
二人の子なのですから、二人で手を取り合って向き合いましょう。
子育て知識の共有
子育てに関する知識を夫婦で共有し、協力して子供を育てましょう。
よくある誤解の一つに「お母さんは何でも知っている」というのがありますが、お母さんだって初めての子育てなら右も左も分からない状態です。
産んだからと言って子育ての知識まで自動的に備わるわけではありません。
分からないことはそれぞれ調べたり、医師等の専門家に訊いたりして学びましょう。
そしてそれを夫婦で共有することで、両親揃って知識とスキルを身につけていくことができます。
夫婦一緒に、子供の健やかな成長を目指すことで、夫婦関係もより深まることでしょう。
短時間でも夫婦一緒に過ごす
子供が寝ている間等、夫婦一緒に過ごすことで、お互いの気持ちを確認することができます。
子供が赤ちゃんのうちは完全に二人きりになるというのは難しいかもしれませんが、抱っこしながらでも夫婦で寄り添う時間があると良いですね。
少し年齢が上がってきたら、可能であれば実家に数時間だけお世話を頼んだり、デイサービスを利用するのもおすすめです。
二人で映画を見たり、散歩をしたり、好きなことを一緒にして、一緒に笑うことが大切です。
定期的にデートができる環境なら理想的ですし、そうでなくても意識的に二人きりで楽しむ時間を持つように心がけましょう。
「両親」ではなく「夫婦」として、お互いへの愛情を再確認する時間になるはずです。
相談できる人を持つ
親や友人など、子育てについて気軽に相談できる関係性を築いておくのも大事なことです。
周りの人たちとの関係を大切にし、相談できる人を持つことで夫婦二人だけで頑張らなければならないというプレッシャーが減り、心の余裕に繋がります。
ただし周りの意見に振り回されるのはやめましょう。
あくまで自分たちの子供のことは自分たちで判断し、夫婦で共有した上で責任を持たなければなりません。
身近にそういった人が居ない場合は、地域の子育てサポートネットワークを利用することもできるはずです。
役所等で情報が公開されていますから、自分の地域のウェブサイトを確認してみましょう。
また、子供の体調や発達について不安だったり、分からないことがあった場合は、迷わず小児科等の医療機関に相談しましょう。
特に子供のことに関しては、自分たちだけで解決しようとしないことも大事なことです。
専門家に相談して指示を仰ぎましょう。
かかりつけの小児科を持つことも、何かあったときに子供の命や健康を守るために重要なことです。
一人時間も大切にする
最後に、自分たち自身のケアも大切です。
ストレスや疲れが溜まってしまうと、夫婦関係に悪影響を与えることもあります。
自分自身の健康や心の安定を大切にし、ストレス解消法を見つけましょう。
その一環として、夫婦二人の時間を大事にするのと同じように、お互いの一人時間も尊重することが大切です。
子育てには夫婦で取り組むべきですが、ときには一人の時間を持つことも大切なのです。
無理に四六時中一緒に居ようとするのではなく、無理なく一緒に居られるように、必要だと感じたら正直に「一人で出かけて来てもいいかな」と話しましょう。
丸一日でなくても、数時間、カフェに入ってのんびりしたり、美容院に行ったり、スポーツをしたりと、好きなことをするだけでリフレッシュできるものです。
これは子育てや夫婦生活における「母親」「父親」「妻」「夫」のような、ある種の「肩書き」から解放されて、「ただの自分自身」になる時間ということです。
あまり頻繁だと良くないでしょうが、「たまには行っておいで」とお互いにその時間を許容して、交互に一人時間を持てるようにできると理想的ですね。
いいことづくし!子育てを協力すると得られる子供への影響
子育てにおいて夫婦が協力することは、夫婦仲を円満に保つことはもちろん、子供にも良い影響があります。
ここでは、脳科学や心理学の視点から、子供にとってどのような影響があるのかを見ていきましょう。
安定した環境
夫婦が家事や育児を分担し、心に余裕をもって暮らしていると、子供にとってより安定した環境が提供されます。
これは、子供の脳の発達にとって非常に重要です。
「安定した環境」とは、子供の生活全般において一貫性と予測可能性がある状況を指します。
以下に具体的な側面をいくつか挙げてみましょう:
- 日常生活のルーティン:
日常生活の活動が一定のスケジュールに従って行われること。
たとえば、食事、睡眠、遊び、学習などの時間が一貫していると、子供は何が起こるかを予測することができ、安心感を得ることができます。 - 規則と境界:
家庭内での規則が明確で、それが一貫して適用される場合、子供はその行動の結果を理解し、適応することができます。 - 感情的な安定性:
親や家族が感情的に安定していると、子供は安全で愛されていると感じます。
親が子供の感情に対して敏感で、適切に対応すると、子供は自己調整のスキルを獲得し、自己理解を深めることができます。 - 物質的な安定性:
基本的な生活必需品(食事、衣服、適切な住居など)が一貫して提供され、経済的な困難や急な変化が少ない環境も子供の安定感に寄与します。
これらの安定した環境は、子供が自身の能力を開発し、自信を育むために重要な基盤を提供します。
これらが一貫して提供されることで、子供は安心感を得て、探求や学習により集中することができます。
逆に不安定でストレスの多い環境は子供の脳にネガティブな影響を及ぼし、学習能力や社会的なスキル、自己認識に影響を与える可能性があります。
特に、子供時代の安定した環境は、ストレス応答システムの健全な発達に寄与し、ストレス耐性を高めると考えられています。
モデリング
子供は親を模範として行動を学びます。
夫婦が協力的で、互いに敬意を表し、健康的な対人関係を維持することで、子供はこれらの行動を学ぶことになります。
これは子供が他人との関係を築くための重要なスキルを養う助けとなります。
自己肯定感の育成
家庭内での感情の安定性は、子供の感情的な健康に大きく影響します。
親が互いに対して愛情深く、支援的であれば、子供は自己価値を感じ、自己肯定感を育てることができます。
これは自己尊重と自己認識の発展に重要で、一生涯の精神的健康に寄与します。
また、夫婦関係が良好で安定していると、子供は安心感を持ち、不安やうつ病のリスクが減少することも知られています。
セキュアアタッチメントの形成
子供は、親が安定した関係を持っていると感じると、安心して周囲の世界を探求することができます。
これは「セキュアアタッチメント」と呼ばれる、子供が安心感と信頼感を感じるための重要な要素です。
セキュアアタッチメント(安全な依存関係)とは、心理学者ジョン・ボウルビィによって提唱されたアタッチメント理論の一部で、初期の親子関係が子供の社会的、感情的発達に大きな影響を及ぼすという理論です。
セキュアアタッチメントは、子供が親に対して安全で信頼できる絆を感じる状態を指します。
これは、親が子供のニーズに敏感で、一貫して適切に反応することで形成されます。
親が子供の感情的なニーズに対応し、愛情を示し、安心感を提供すると、子供は親を安全基地として認識します。
この安全基地は、子供が新しい環境や経験を探索する際の基盤となります。
困難な状況や不安を感じるとき、子供は親に対してリターン(戻る行動)をします。
親が適切に対応し、安全で愛情深い環境を提供すると、子供は再び世界を探索する自信を得ます。
これは社会性、自尊心、学習能力、ストレス管理能力の発達に大きく影響します。
これらすべての要素が子供の心理的、感情的、そして認知的な発達に寄与します。
そのため、夫婦が協力して子育てを行い、互いに対する関係を良好に保つことは、子供にとって非常に重要です。
いかがでしたでしょうか。
夫婦で子育てを協力することは、夫婦の関係を良好に保つだけでなく、我が子の精神的安定と学習能力、社会性やストレス耐性のためにも良い影響があるということが分かりました。
夫婦がお互いに、できるところから歩み寄り、協力するきっかけになれば嬉しいです。