最近ではドラマの題材としても取り上げられているセックスレス。
結婚生活において、セックスレスは悩ましい問題の一つです。
特に子育てや仕事に忙しいと、自然と夫婦間のコミュニケーションやスキンシップがおろそかになってしまうことがあります。
その結果、いつのまにかセックスレスに陥ってしまい、それが原因で夫婦関係が悪化し、最悪の場合離婚に至るケースも少なくありません。
今回は、そんなセックスレスの原因や予防方法について考えていきたいと思います。
そもそもセックスレスってどういう状態?
セックスレスとは、夫婦やカップル間に一定期間、性的関係が存在しない状態を指します。
しかし「一定期間」とはどれぐらいで、どういう状態が問題となるのでしょうか。
結論から言うと、セックスレスかどうか、そしてセックスレスが問題になるかどうかは、「人による」です。
どういうことか、詳しく見ていきましょう。
セックスレスの定義
セックスレスの一般的な定義は、カップルが一定期間性的な接触を持たない状態を指します。
しかし、その「一定期間」については意見が分かれており、一概に定義するのは難しいとされています。
一部の専門家や研究者は、「1ヶ月以上性的な関係がない場合」をセックスレスと定義しています。
一方で、日本の厚生労働省の調査では、「1年以上性交渉がない状態」をセックスレスと定義しています。
つまり、「これぐらいの期間セックスがなければセックスレスですよ」という明確な線引きはないのです。
言い換えれば、セックスレスは期間が問題なのではなく、それがパートナー間で問題になっているか、当人たちが不満を感じているか、ということの方が重要だと言えそうです。
性行為の頻度は個々のカップルによって異なり、一定の頻度で性行為を持つことが、必ずしも健康で満足のいく関係を維持するために必要とは限りません。
例えば、2カ月に1回ぐらいの頻度であっても、二人ともそれで満足していて、お互いの愛情を確認でき、安心感や充足感を得られるのであれば問題はありません。
セックスレスが問題になる夫婦とならない夫婦の違い
問題になるのは、特に夫婦やカップルの片一方が不満を感じている場合です。
仮に3カ月間、性的な行為がない夫婦が複数居るとします。
「1カ月以上」という基準を参考にするなら、期間的にはセックスレスと言える状態です。
この同じ状況でも、セックスレスが問題になる夫婦とならない夫婦が居ます。
違いは、主にコミュニケーションと性欲のバランスにあると考えられます。
セックスレスが問題にならない夫婦の例
- 性欲が一致している夫婦:
パートナー間で性的な欲求のレベルが一致している場合、両者が共にセックスレスを問題と感じないことがあります。
たとえば、双方ともに自然に性的欲求が低い、または他の生活の側面(例えば、趣味や仕事、子育て等)に焦点を当てたいと感じている場合などです。 - オープンなコミュニケーションができている夫婦:
パートナー同士でセックスレスについての感じ方や、それが自身の感情や相手との関係に及ぼす影響について率直に話し合い、理解し合うことができている場合です。
不満がなければ何も問題ありませんし、仮にどちらかが不満を持っていたとしても、それが夫婦間で共有されるので解決策や対策を一緒に考えることができます。
これにより、性的な関係の有無が必ずしも関係の質を左右しないという共通の理解が生まれます。
セックスレスが問題になる夫婦の例
- 性欲に不一致がある夫婦:
一方のパートナーが性的な接触を求め、一方がそれを望まない場合、セックスレスは問題となります。
この性欲の不一致は関係に溝を生じさせるので、二人の間に緊張やすれ違いを引き起こす可能性があります。 - コミュニケーションが欠如している夫婦:
セックスレスについての不満や不安をパートナーに伝えることができなかったり、伝えてもしっかり受け止めてもらえなかったりして、その感情が溜まり続ける場合、セックスレスは大きな問題となりえます。
以上の例からも分かるように、セックスレス自体が必ずしも問題ではなく、その状態がパートナー間でどのように受け止められ、どう扱われるかが問題となるということを理解することが重要です。
それぞれの夫婦が自身のニーズと欲求に合わせて、健康的で満足のいく関係を追求することが最も重要であると言えます。
性の問題はタブー視されがちですが、夫婦間でオープンに話し合うことで、解決の糸口を見つけることができるでしょう。
妻や夫の気持ちを理解しようという姿勢を持ち、オープンに話し合うことが、セックスレスを克服するための鍵となります。
セックスレスが起こる原因と予防方法
原因が分かれば予防もできるというもの。
ここではセックスレスの原因となる要素と予防方法、またセックスレスになりやすい夫婦の特徴を見てみましょう。
セックスレスの原因
セックスレスになる原因は多岐にわたりますが、以下に一部を挙げてみます。
- 疲労やストレス:
忙しさから疲労が蓄積されていたり、仕事や家庭の問題などによるストレスが溜まっていると、セックスに対する意欲が低下します。 - 体調不良や病気:
疾患や怪我、手術後の回復期など、身体の健康状態が良くないときもセックスに対する欲求が下がることがあります。
特に、性的機能に影響を及ぼす疾患(例えば勃起不全や性交痛)は直接的にセックスレスにつながることがあります。 - 心理的な問題:
過去の性的トラウマ、パートナーへの不信感、不安、恐怖などがセックスレスの原因となることがあります。 - 夫婦間の問題:
信頼や愛情の欠如、パートナーに対する不満や怒り、コミュニケーションの不足や倦怠期など、パートナーとの間柄が良好でないと、性的な関係が途絶えることがあります。 - 子育てや家事の負担:
子供が生まれた後や、家事の負担が増えた場合、それらに追われてセックスに時間とエネルギーを割くことが難しくなることがあります。 - 性欲の低下:
加齢、ホルモンバランスの変化(例えば女性の閉経や男性の更年期)、抗うつ薬などの薬物の副作用などにより、性欲が低下することがあります。
これらの原因は一つだけでなく、複数が組み合わさってセックスレスにつながることが多いです。
そして、それぞれの原因に対する対策や治療法は異なるため、具体的な原因を理解することが解決の第一歩となります。
セックスレスの予防方法
上記の原因を元に、夫婦間でセックスレスを予防するために意識すると良いことをまとめてみます。
1. オープンなコミュニケーションを保つ:
パートナーとの対話を大切にしましょう。
日々の出来事や感情、悩みなど、何でも打ち明けて話し合える関係性を日頃から築いていることが大切です。
性についての希望や不安、期待や嗜好などをオープンに話し合うことで、お互いの理解を深め、より良い性生活を送ることができるようになります。
また、日常生活の中での思いやりのある行動や感謝の表現も、絆を深め、愛情を維持するのに有効です。
2. 定期的なデートや特別な時間の設定:
日々の忙しさから離れて、パートナーとロマンティックな時間を過ごすことは、感情的な絆を強化し、性的な欲求を刺激することができます。
レストランでのディナーであったり、共通の趣味を楽しむ時間であったり、一緒に過ごす静かな夜であったり、何でも構いません。
二人が親密な時間を過ごせることが重要です。
3. 健康的なライフスタイルを維持する:
身体的な健康はセクシュアルヘルスにも密接に関係しています。
バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠などを心がけることで、体調を整えることができます。
4. ストレスを管理する:
ストレスは性欲を低下させる大きな要因の一つです。
家事や育児は分担し、家庭でのストレスを極力減らすようにしましょう。
また、夫婦それぞれがリラクゼーションのための時間を確保したり、一人で趣味や好きなことに時間を使ったりすることでストレスを緩和、予防することができます。
5. セラピーまたはカウンセリング:
長期的なストレス、不安、抑うつなどがセックスレスの原因となる場合があります。
これらの問題がある場合は、自分たちだけで無理をせず、心理療法やカウンセリングを通じて問題を解決することを検討すると良いでしょう。
ただし、これらの方法は一般的なものであり、個々の状況によっては異なる対応が必要な場合もあります。
セックスレスが続く場合や悩みが深刻な場合は、専門家に相談することを推奨します。
セックスレスになりやすい夫婦に共通する特徴
セックスレスになりやすい夫婦の性格や考え方について明確な共通点を示す研究は少ないですが、一部の研究や心理学の理論から推測すると以下のような特徴が考えられます。
- コミュニケーションが苦手:
オープンなコミュニケーションが苦手な夫婦は、性的な欲求や不満を適切に表現することが難しく、セックスレスになりやすいと言えます。
また、コミュニケーションが不十分だと誤解や不満が溜まりやすく、それがセックスレスにつながることもあります。 - 過度なストレスや疲労:
ストレスや疲労が常態化している夫婦は、それが性欲を減退させることがあります。
特に、家庭や職場での役割が多く、自分の身体や精神的なケアに時間が取れない人はセックスレスになりやすいと言えます。 - 自己中心的な性格:
相手の気持ちを尊重することが少ない、自己中心的な性格の人は、パートナーとの性的なバランスを保つことが難しくなり、セックスレスになりやすいと言えます。 - 性に対するネガティブな考え:
セックスや性に対するネガティブな信念や考えを持つ人は、セックスレスになりやすいです。
例えば、セックスは罪悪感を伴う行為であると思っていたり、自分の体に対する不安やコンプレックスがあったりすると、性的な行為自体を避けようとしてしまうかもしれません。 - 感情表現が苦手:
感情表現が苦手な人は、性的な欲求や愛情を表現することが難しく、それがセックスレスにつながることがあります。
しかし、これらは一般的な傾向であり、必ずしも全ての夫婦に当てはまるわけではありません。
性行為の有無や頻度は個々の夫婦やパートナー間の約束事や理解によって大きく変わります。
重要なのは、お互いのニーズや期待を理解し、それに対して適切に応えることです。
いかがでしょうか。
自分たちには関係ないと思っていても、いつのまにかセックスレスに陥ってしまう夫婦は少なくありません。
夫婦のセックスは日々のコミュニケーションの先にあるということを忘れずに、お互いに対する愛情と感謝の気持ちを持ち、それをきちんと表現することで、セックスレスは予防することができます。
まずは相手の目を見て話すことから、もう一度意識してみてください。
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