長い妊娠期間を経て、ついに出産。
生まれたばかりの我が子を抱いた瞬間というのは、やはり忘れられない感動的なひとときになるでしょう。
しかし、本当に大変なのはその後、おうちに帰ってからが試練の始まりです。
いよいよ、夫婦のチームワークが試される新生児育児がスタートするわけです。
その際、出産という試練を終えたばかりの女性はどんな状態なのか、妻自身はもちろん夫もきちんと知っているというのは大事なことです。
当たり前ですが出産した直後の女性の状態というのは平常時とは違います。
加えて、この世に生まれ出てきて間もない赤ちゃんは「人」というより「生まれたて」という生き物という感じです。
免疫機能も発達しておらず、放っておかれたら生きていけない生き物なのです。
それまで夫婦二人暮らしだった場合、身体もホルモンバランスも異常なし、と言えるのは夫だけです。
なので夫は正しい知識を持って、生まれたばかりの赤ちゃんと、母親になったばかりの妻が健やかでいられる環境を作っておきましょう。
今回は出産後の女性の変化と、産後3カ月間に夫がすべきサポート、そして産後のセックスについてまとめていきます。
出産後の女性が経験する身体的・精神的変化
出産は女性の身体と心に多大な影響を及ぼします。
以下、産後の女性が経験する身体的な変化と精神的な変化を説明します。
身体的な変化
- 体重の変化:
出産後、体重は徐々に減少しますが、妊娠前の体重に戻るまでには時間がかかることがあります。この理由は、妊娠中に貯め込んだ脂肪が赤ちゃんの成長と母乳を作るエネルギーとして使用されるためです。 - 体型の変化:
腹部の変化が最も大きいですが、子宮は元の大きさに戻るまでに数週間かかります。
また、胎児、羊水、胎盤などを支えていた体が元に戻るプロセスは、腹部の筋肉が緩んだり、体形が変わったりする原因となります。
お腹の皮膚はぎりぎりまで伸ばされていた状態から元に戻ろうとするので、たるみを感じることも多いです。 - ホルモンの変動:
妊娠中は女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンのレベルが上がりますが、出産後これらのホルモンレベルは急激に低下します。
これにより気分が落ち込むことがあり、他の要因と絡み合うことで産後うつに繋がることもあります。 - 骨盤と膣の変化:
妊娠と出産により骨盤は拡大し、産後も元のサイズに戻るまでに時間がかかります。
特に、自然分娩を経験した女性は骨盤の形状に変化を感じることがあります。
また、出産により膣も広がり、筋肉は緩んでしまいます。
これは骨盤底筋トレーニングなどで徐々に改善されますが、一部の女性は産後に尿失禁などの問題を経験することがあります。
精神的な変化
- 産後うつ:
ホルモンの変動、身体の疲労、睡眠不足、新生児の世話という新たな責任感などから、多くの新しい母親が産後うつを経験します。
これは深刻な問題であり、自分一人で抱え込むのではなく、医療専門家や家族と話し合うことが重要です。
早期の治療を受けましょう。 - 不安感:
新しい母親は赤ちゃんの健康や育児の不安を感じることが多く、これは特に初めての母親にとっては一般的な感情ですが、場合によっては不安障害につながることがあります。 - 自己イメージの変化:
体形や生活スタイルの変化により、自分自身に対する見方や価値観が変わることがあります。
これは自己肯定感の低下や自己意識の過度な高まりを引き起こすことがあります。
また、社会から受ける「母親であるべき姿」のプレッシャーは、自己評価や自己尊重感を下げる可能性があります。
これらの身体的、精神的な変化は一時的なものであることが多いですが、何か問題を感じた場合は医療専門家に相談しましょう。
適切なサポートと治療により、これらの変化を乗り越えることができます。
出産後3カ月、夫はこれを心得て!
出産後の3ヶ月間は、新しい生活リズムに慣れるための重要な時期であり、パートナーとして、また父親として、夫が妻と赤ちゃんを支えることが求められます。
3カ月も経つと、母親は産後の身体の痛みがなくなることや、育児生活に慣れてくること、また、赤ちゃんによっては夜に数時間続けて寝てくれるようになることで、若干ですが生活が楽になることが多いようです。
逆に言うと、それまでの3カ月は非常につらいということ。
この大事な時期を夫婦で協力して乗り越えるために、夫が知っておくべきことと具体的なサポートの例を挙げていきます。
知っておくべきこと
- 産後うつの可能性:
妻が産後うつになる可能性があることを理解し、その兆候を見つけるための情報を得ることが重要です。
無気力、悲しみ、過度の疲労、興味喪失、食欲不振などの症状がある場合、迷わず医療専門家と話しに行きましょう。 - 回復に時間がかかる:
産後の体はすぐには元に戻りません。
妻の体が完全に回復するまでには数カ月から1年以上かかることがあります。
勝手に「〇カ月経ったからもう大丈夫だろう」等と思わないようにしましょう。 - 母親としての不安:
特に初めて母親になった女性は、新生児の世話や自分の能力について不安を感じることがあります。
妻がそのような感情を抱いていても当然だと理解し、励ましや安心感を提供しつつ、父親として自分も子育てを行うことが重要です。
「自分で産んだんだから分かるだろう」という謎の思い込みで、赤ちゃんのことは何でも妻に訊けばいいと思っている男性は思いのほか多いようですが、そんなわけないと気づきましょう! - 母乳育児の難しさ:
母乳育児は新生児にとって最善の栄養源であり、多くの母親がこれを選択します。
しかし、母乳育児は簡単ではなく、乳房の痛み、なかなかお乳が出ない、赤ちゃんが上手に吸うことができないなど、様々な悩みと挑戦があります。
また、母乳育児をしたくても理由があってできないという場合もあります。
それによって精神的に追い詰められたり、つらく悲しい思いをしている女性も多いのが事実です。
夫としてこれを理解し、必要な支援を提供することが重要です。 - 慢性的な睡眠不足のつらさ:
新生児は夜中にも授乳やおむつ等色々な理由で起きるため、多くの母親は深刻な睡眠不足に陥ります。
これは身体的、精神的健康に影響を及ぼすので、理解とサポートが必要です。
眠れないというのは本当につらいものですが、子供を産むと、不思議なもので赤ちゃんが少しでも泣くと、自分がどんなに眠くても本能的に目が覚めるようになります。
一方父親はそんなことはないので、赤ちゃんが泣いていても一晩ぐっすり眠れる人も多いです。
もちろん人により程度は違いますが、出産直後の母親は基本的に睡眠不足、と理解しましょう。
具体的なサポート方法
- とにかく家事をやる:
特に最初の1カ月程は、妻が赤ちゃんの世話と自分の身体の回復に専念できるよう、家事を担当することが大切です。
料理、洗濯、掃除、食料品や日用品の買い出しなど、家事を積極的に行うことが求められます。
完璧にやる必要はありません。
無理なくやっていけるように、食事はときにはデリバリーにしたり、必要なら家事代行等のサービスを利用するのも良いでしょう。
とにかく「妻の負担を減らすこと」が達成されればいいという気持ちで家事を片付けてください。 - 赤ちゃんの世話:
おむつ替えや沐浴、抱っこなど、赤ちゃんの世話を自分も行うことが重要です。
これは夫が父親として、赤ちゃんとの絆を深める良い機会でもあります。
赤ちゃんの定期健診にも同行できると良いですね。
また、夜中の授乳も哺乳瓶にミルクを作れば替わることができます。
「ママじゃないと泣くから」という理由で自分は手を出さない、という「パパ」も居るようですが、赤ちゃんは泣くものです。だから泣いても大丈夫です。
逆にママは寝られないと大丈夫じゃなくなります。
睡眠不足は産後うつの原因にもなりますから、仕事が休みの日の前夜だけでも、赤ちゃんに泣かれても妻を寝かせてあげてください。 - 妻のリラクゼーションをサポート:
妻に自分自身の時間を持つように促し、それをサポートします。
例えば、妻がシャワーを浴びたり、読書したり、趣味に時間を費やしたりできるように、その時間は自分が赤ちゃんの世話をします。
これは日頃からお世話をしていれば問題ないはずですが、急にやろうとすると大変でしょう。
日々、育児に関わることが重要ということです。 - 妻の感情を理解し、対話を持つ:
妻が抱える感情を理解し、常に対話を持つことで精神的サポートを提供します。
妻が何かを話す時は、解決策を提案する前にただ話を聞き、気持ちに寄り添おうとする姿勢が大切です。
これらのアクションは、妻が産後の身体的、精神的な変化をよりスムーズに乗り越えるのを助けることにつながります。
そして、これは夫婦の絆を深め、家族としての新しい生活を楽しむための土台となります。
いつから大丈夫?産後のセックス
夫婦間のセックスはお互いの愛情や絆を確認できる大切なものですが、出産後のセックスについては注意が必要な場合もあります。
まず産後いつから性行為を再開できるかですが、女性の体調や身体的な回復、精神的な準備などにより、個々でタイミングが異なります。
一般的には、出産後6週間から8週間頃から性行為を再開しても大丈夫ということになってはいます。
しかし、これはあくまで目安であり、妊娠中や出産後の診察で医師から特別な指示があった場合はそれに従わなければなりませんし、そうでない場合は個々の女性自身の身体的な回復状況や、精神的な感覚を頼りにすることが重要です。
セックスを再開する際に注意すべき点は以下の通りです。
- 体調のチェック:
女性は出産後すぐには体調が戻らないかもしれません。
特に、縫合部位がある場合や帝王切開後であれば、それが十分に癒えていることを確認する必要があります。
さらに、出血が止まっていることを確認することも大切です。
いくら医師が「もう大丈夫ですよ」と言っていても、出産をした本人がまだ不安なのであれば、セックスをするべきではありません。 - 避妊をする:
妊娠の可能性は、月経が再開する前でも存在します。
再び妊娠を望まない場合は、適切な避妊の処置を行いましょう。
特に、出産直後は体が回復するための時間が必要であるため、短期間での再妊娠は避けるべきです。 - コミュニケーション:
出産後、女性の身体は変化しますから、セックスに対する感じ方も変わるかもしれません。
これは妻の方から、出産後の身体の変化や気分の変動を夫に伝えることが重要です。
性行為の際には快適さとリラックス感が大切であり、そのためには互いの感情や体調の共有が必要なのです。
以前は感じなかった痛みや不快感がある場合も、ちゃんと伝えましょう。
無理をせず、パートナーとのオープンなコミュニケーションをそれまで以上に大事にすることが重要です。 - 精神的な準備:
産後の女性は身体的なダメージやホルモンバランスの変化、睡眠不足と疲労、新しい責任感などから、セックスに対する欲求が低下することが多々あります。
これは全く普通のことで、無理に性的関係を再開する必要はありません。
身体が回復しても行為をしたいと思えないのであれば、まだ精神的な準備が整っていないということです。
夫はこれをよく理解することが必要です。
もし妻に「そういう気分になれない」「したくない」と言われても、それは愛情が減ってしまったということではないのです。
しかし夫もいつまでも我慢をするのはつらいでしょうから、セックスができないうちはどんな形でお互いに不満が溜まらないようにしていくのか、夫婦でよく話し合い、理解し合うことが大切です。
これら全ての要素を考慮に入れつつ、あくまで女性自身の身体と心の状態を尊重することが最も重要です。
夫である男性は、決して無理強いなどすることのないように。
いかがでしょうか。
我が子の誕生という、人生における大きな変化のときにこそ、夫婦の協力体制やコミュニケーションが重要になります。
その後の子供との生活をより素晴らしいものにするためにも、そして夫婦の絆をより強いものにするためにも、出産前にぜひ夫婦で話し合い、夫は妻を全力でサポートする姿勢を持ってください。